残業・残業代問題でお困りの経営者・人事労務ご担当者様へ  〜ここに注意!労務管理の現場で見かける残業対策の落とし穴〜

《《 経営者のための残業対策講座 》》

このたびは、当サイト「経営者のための残業対策講座」にお越し下さいました有り難うございました。
当サイトでは、サービス残業残業代の支払い労基署等による指導監督その他残業および残業代の問題でお困りの経営者様および人事労務ご担当者様にご覧頂くことを念頭に、企業の顧問社会保険労務士としての視点から、会社として最小限押さえておくべき残業・残業代に関する知識や具体的対応策について簡潔に記載し、解説を試みています。日常の残業・残業代管理にお役立ていただければ幸いです。


社会保険労務士中村亨事務所 :
〒359-0037 埼玉県所沢市くすのき台3-4-7 カンファリエA202  TEL 04-2995-6662  FAX 04-2995-6668
(主なエリア:所沢市、狭山市、入間市、川越市、三芳町、ふじみ野市、富士見市、新座市、飯能市、東村山市、東久留米市、東大和市、清瀬市、西東京市、小平市 他)
○企業の顧問社労士として一言 ○古くて新しい残業問題 ○負い目のない残業対策とは
○残業・残業代に関する基礎知識 ○残業・残業代の例外 ○違反した場合のペナルティ ○残業に潜むもう一つのリスク
○残業・残業代Q&A ○残業対策コンサルティング案内 ○中村亨事務所ホームページ ○サイトマップ

第6章 違反した場合に会社が受けるペナルティとは?

現在のところ、前章で挙げた方法以外に残業代の支払が法的に免除されることはありません。

また、たとえ会社と労働者が「残業代なし」の条件で合意したとしても、同様であることはすでに述べたとおりです。

したがって、前記のいずれにも該当しないにも関わらず、残業代を支払わなかった場合には、違法な行為として一定のペナルティを受けることになります。

このペナルティには「刑事上の責任」によるものと「民事上の責任」によるものの2種類があります。


1.刑事上のペナルティ

刑事上のペナルティとしては罰則の適用が挙げられます。

残業代の不払いは労基法第24条および第37条違反に該当する行為ですが、いずれも一定期間の懲役または一定額の罰金を罰則として定めています。

ただ、実際には罰則が科される前に是正勧告等の指導により解決してしまうことが多いため、実際に刑事処分の対象とされることは、よほど悪質なケースでない限り少ないようです。


2.民事上のペナルティ

民事上のペナルティとしては、@未払残業代そのものの支払、A遅延損害金の支払、B付加金の支払、の3種類があり、いずれも金銭の支払いによるものです。


@未払残業代の支払い

未払い残業があったと認定されれば、その全額について支払うこととなります。

ただ、この場合には本来支払うべきものを後から支払っただけであり、事の本質としてはペナルティというよりむしろ、当然の義務を果たしただけに過ぎないものといえるでしょう。

▽ここに注意!!

未払残業代の時効は2年間です。

したがって、在職中であるか否かを問わず、2年間まではさかのぼって請求することができます。

最近、縁の切れ目とばかりに、退職と同時に在職中のサービス残業について、2年分さかのぼって残業代の請求がされるのはこうした理由によるものです。


A付加金の支払い

未払残業代問題で意外と知られていないのが付加金制度です。

付加金制度は労基法独自の制度で、裁判所が必要と認めた場合には、未払い残業代と同額を上限とした付加金という金銭の支払いを命ずることができる制度をいいます。

付加金の支払いを命ぜられた場合、@の未払い残業代とは別途支払うこととなることから、いわば「残業代の倍返し制度」ともいえるでしょう。

裁判所は付加金の支払いを必ず命ずるものではありませんが、裁判では労働者は、まずセットで請求するのが通例で、悪質なケースの場合などでは、全額が認められることも決して少なくありません。


B遅延損害金の支払

未払残業代や付加金には利息もかかります。

これを遅延損害金といいます。

未払残業代に対する遅延損害金の計算は各月毎の残業代の支払日がそれぞれの起算日となり、利率は、在職中であれば年6%ですが、退職日した場合には年14.6%と、いっきに2倍以上の利率が課されることになります。

付加金に対する遅延損害金の計算は確定判決日が起算日となり、利率は年5%です。


C実例

以上、民事上の3種類のペナルティについて解説しましたが、文章だけではピンとこないと思いますので具体例を挙げてみました。

思いのほか、大きな額になることがお分かりいただけるのではないかと思います。

事例:

月所定労働時間が170時間、給与総額が30万円(内訳:基本給25万円、家族手当2万円、一律支給の住宅手当2万円、通勤手当1万円)、サービス残業が毎月30時間の労働者が労働者が退職してすぐに、在職中のサービス残業に対する未払残業代を求めて裁判等を起こし、主張が認められた場合の支払額は下記のようになります。

ア 未払残業代

27万円(=30万円−家族手当−通勤手当)÷170×1.25×30時間×24ヶ月(2年)=約143万円


イ 付加金

未払残業代と同額


ウ 遅延損害金

アとイに所定の率を乗じた額


合計(ア+イ+ウ)=約290万円が支払額となります。

第5章へ戻る   第7章へ続く
○企業の顧問社労士として一言 ○古くて新しい残業問題 ○負い目のない残業対策とは
○残業・残業代に関する基礎知識 ○残業・残業代の例外 ○違反した場合のペナルティ ○残業に潜むもう一つのリスク
○残業・残業代Q&A ○残業対策コンサルティング案内 ○中村亨事務所ホームページ ○サイトマップ
copyright(C)2007 社会保険労務士中村亨事務所