残業・残業代問題でお困りの経営者・人事労務ご担当者様へ  〜ここに注意!労務管理の現場で見かける残業対策の落とし穴〜

《《 経営者のための残業対策講座 》》

このたびは、当サイト「経営者のための残業対策講座」にお越し下さいました有り難うございました。
当サイトでは、サービス残業残業代の支払い労基署等による指導監督その他残業および残業代の問題でお困りの経営者様および人事労務ご担当者様にご覧頂くことを念頭に、企業の顧問社会保険労務士としての視点から、会社として最小限押さえておくべき残業・残業代に関する知識や具体的対応策について簡潔に記載し、解説を試みています。日常の残業・残業代管理にお役立ていただければ幸いです。


社会保険労務士中村亨事務所 :
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○企業の顧問社労士として一言 ○古くて新しい残業問題 ○負い目のない残業対策とは
○残業・残業代に関する基礎知識 ○残業・残業代の例外 ○違反した場合のペナルティ ○残業に潜むもう一つのリスク
○残業・残業代Q&A ○残業対策コンサルティング案内 ○中村亨事務所ホームページ ○サイトマップ

第7章 残業にひそむ、もう一つのリスクとは?

前章までは、残業に関する基礎知識や残業代の計算方法、違反した場合のリスク、残業代の対象となる労働者・ならない労働者など、いわば残業と残業代そのものについて述べてきました。

では、こうした条件を全てクリアすれば会社として残業に伴う法的リスクはなくなるのでしょうか?

たとえば、労基法上の裁量労働制に該当すれば、残業管理の一切を、本人に任せきりにして問題ないのでしょうか?

また残業代が必要な労働者には、残業代さえ払えばいくらでも残業をさせてもかまわないのでしょうか?

実は、こうした問題については今までとは異なる面から考える必要があります。

すなわち、いままで述べてきたリスクとは別のリスクを会社が負うことがあるのかどうか、ということです。

実は、若干専門的になるので余り知られていませんが、法律上、会社は労働者を雇った時点から「労働者の健康が仕事によって害されないように配慮し、管理しなければならない」といった責任を負っており、この責任を一般には「安全配慮義務」とか「健康管理義務」と呼んでいます。

労働時間の長短は、健康の維持に極めて影響を及ぼすことから労働時間の管理も、当然この義務の主要な内容とされています。

なかでも残業は長時間労働の最大の原因となることから、その責任は通常の労働時間以上に求められています。

したがって、冒頭にあるように裁量労働制や残業手当の支給を理由に長時間労働をさせた結果、健康を害したような場合には、それが労基法上は問題が無くとも、健康管理を怠っていたのではないか、すなわち安全配慮義務違反があったのではないか?という別の責任を問われることとなるのです。

長時間労働で健康を害する場合、単なる過労にとどまらず、うつ病や循環器疾患など重篤な疾病をもたらすことも多く、場合によっては過労死、過労自殺といった最悪のケースに至ることも決して少なくありません。

裁判等で、こうした結果の原因が会社の健康管理義務違反と認定された場合、損害賠償額が数千万円となることはざらです。億単位ということもあり得ます。

また、賠償金の支払いといった経済的ダメージだけではありません。

過労死や過労自殺は、現在、国を挙げて防止に取り組んでいる問題とであり国民の関心事となっています。

新聞等で公表されれば社会的ダメージは極めて重いものとなるでしょう。

以上のような理由から、会社が労働者に残業をさせる場合には、単なる残業や残業代の管理のみならず、健康管理という視点からも十分に注意しておく必要があります。

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